研究課題
・圧力スケールの問題 高圧実験において圧力媒体および断熱材兼圧力スケールとして有用なNaClは、これまで107GPa程度までしか較正されておらず200GPa以上での較正はない。本研究ではDiamond Raman圧力スケールを用いて、NaClの圧力スケールを272GPaまで較正した。これにより300GPa領域では従来の圧力スケールと8%ものずれが生じることが明らかになった。・地球内核条件までのFe-Ni-S合金の圧縮実験 高温高圧下においてFe-Ni合金はその構造中にSを少量含むことができる。硫黄を微量に含むこの合金の密度や結晶構造は地球の内核の構造を考える際に重要である。このFe-Ni-S合金は高圧下でのみ合成されるため、直接この試料についての研究はこれまで全くなされていなかった。本研究ではこの試料に関する圧縮実験を行い、内核に相当する圧力339GPa(較正された圧力スケールでは地球中心に相当する368GPa)までの実験に成功した。圧力スケールなどの問題を加味した場合に、内核境界に相当する330GPaにおいては硫黄を含まない場合と比べて1.6%ほど小さい密度をもち、結晶構造はhcp構造が安定であることを明らかにした。・地球内核条件までのFe-Ni-Si合金の相関係 ケイ素を含むFe-Ni合金は広い圧力範囲で純鉄と同じhcp構造を持つが、200GPa以上で3000K以上になるとfcc構造になる可能性が理論的に予測されている。地球の内核の結晶構造・地震波速度構造異方性といった問題を考える際にFe-Ni-Si合金が地球内核条件でどちらの結晶構造をとるのかということは重要な問題である。本研究ではFe-5wt.%Ni-4.0wt.%Si合金について約200GPa,3300Kまでの相関係について調べた。X線回折実験よりこの温度圧力まではhcp構造が安定であることが明らかになった。
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Earth and Planetary Science Letters (In press)
SPring-8 User Experimental Report 2009A
ページ: 2009A1463