平成21年度は、6000トン駆動のKawai型高圧発生装置を用いて、ドリッカマー型装置に使用するための大型ヒメダイヤを合成するとともに、焼結ダイヤモンドアンビルを用いてドリッカマー型装置を用いた圧力発生実験を行った。大型ヒメダイヤ合成に関しては、大型の装置を使用することにより、直径8mm程度のヒメダイヤを安定的に作ることができるようになった。このヒメダイヤを専門の加工業者に委託しアンビル形状に加工することに成功し、平成22年度以降に、このヒメダイヤアンビルを使用した実験を開始する予定である。圧力発生実験は、第3世代放射光施設SPring-8に、ドリッカマー型装置を持ち込んで行った。この実験を可能にするための実験ステージを製作し、SPring-8のBLO4B1ビームラインでドリソカマー型装置を用いた実験を行えるようにした。試料には、圧力標準物質である金を用いた。高圧下におけるX線回折実験を行い、金の格子体積の縮み具合から発生圧力を算出した。本研究の目的は、ヒメダイヤを用いたドリッカマー型装置により、下部マントル最下部条件(圧力130GPa)を岩石・鉱物学的研究の対象とすることである。したがって、圧力発生実験を行い、目的の圧力を発生させることが本研究を遂行する上での基礎となる。酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、パイロフィライト、各種金属など、さまざまな材質の圧力媒体やガスケットを用いて、圧力発生実験を繰り返した。このような実験の結果、現在までに約60GPaの圧力発生に成功している。
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