研究課題
平成23年度は、これまでに開発した実験技術を用いて、ヒメダイヤおよび焼結ダイヤモンドをアンビルに用いたドリッカマー型装置を、第3世代大型放射光施設SPring-8に持ち込み、高圧下における粉末X線回折実験を行い、また放射光を持ちない回収実験を行った。放射光実験をより効率的に行うために、ドリッカマー型装置を設置する実験ステージに改良を加え、その装置を取り外し・再設置する際の位置再現性を向上させた。加熱には外熱方式を試みた。入射および回折X線の透過性を考慮して、窒化ケイ素製のシリンダーをアンビルガイドに採用し、その外側から白金線ヒーターを用いて加熱を行った。白金線ヒーターには最大供給電力1600Wの直流電源を用いて電力を供給した。試料には、金、白金、MgOの圧力標準物質、および金と下部マントルに存在すると考えられる鉱物粉末の混合物を使用した。圧力標準物質を使用した実験では60GPa程度の圧力発生を確認した。鉱物粉末を用いた実験では、下部マントル最下部、ポストペロブスカイト相が存在すると考えられるD"層に相当する条件に到達することはできなかった。本研究課題に関係して、より高靱性で割れにくい高硬度材料の合成を試みた結果、ナノサイズの結晶粒径をもつ、スティショバイト焼結多結晶体の合成に成功した。この材質は最も硬度が高く、最も割れにくい酸化物材料の一つであることがわかり、今後の高圧発生技術への使用が期待される。この材質は産業上も有用だと考えられるので特許申請を行った。
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