研究課題
本研究は下部マントルに相当する温度・圧力(>1500℃・>23GPa)条件下で弾性波速度測定を行うための技術開発を主な目的としている。この目的を達成するため本年度は以下の点について重点的に研究を行った。昨年度までに開発した超音波測定システムと超音波実験用の高圧セルを用いて、実際の下部マントル構成鉱物であるMgSiO_3-perovskiteの弾性波速度を測定した。MgSiO_3-perovskiteは下部マントルの最も主要な構成鉱物であり、マントルの化学組成や物理状態を推定する上で最も重要な鉱物である。まず、大型のマルチアンビル型高圧発生装置を用いてMgSiO_3-perovskiteの焼結体の作成を行った。焼結体をφ1.0mm、厚み0.5mm程度に成形したのちに、超音波実験用高圧セルに封入し、超音波実験を行った。実験を行った結果、約28GPa,1600℃の高温高圧条件下で超音波エコーの取得に成功した。上記温度圧力条件は下部マントル最上部の圧力温度に相当し、本研究の目的はおおむね達せられたものと考えられる。測定された弾性波速度の詳しい評価は現在おこなっているところであるが、低圧・低温条件下で得られた過去のMgSiO_3-perovskiteの弾性波速度測定結果と比較して整合的な結果が得られている。今後、測定した弾性波速度データと地震学的に観測された地震波速度プロファイルの詳細な比較を行い、下部マントルの化学組成や温度の推定をおこなう。
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