研究課題
長崎変成岩類の蛇紋岩メランジを対象に、蛇紋岩メランジにおける交代作用と変形の相互関係を明らかにすることを目的とした野外調査および室内研究を実施した。野外調査は西彼杵地域と野母地域にて地質踏査と試料採集を実施した。室内研究では試料の薄片顕微鏡観察、全岩化学組成分析、顕微ラマン分析などを実施した。その結果として以下の成果を得た。1. 西彼杵地域では、泥質片岩の曹長岩化がメランジマトリックスとの接触部に認められる。顕微ラマン分析により曹長岩化した泥質片岩中にCH_4の流体包有物が見出された。これにより昨年度からの課題だった交代作用に伴う流体生成過程の曖昧さが解決された。以上の結果を今後できるだけ早く論文として投稿する予定。2. 野母地域では、泥質片岩の片理に沿った曹長岩化が認められる(西彼杵地域とは異なるタイプの曹長岩化)。こちらでは、顕微ラマン分析によりCH_4およびCH_4+CO_2の流体包有物が見出された。また、全岩化学組成にもとづく物質移動解析では曹長岩化に伴う固相の体積減少が見出された。今後、交代作用と変形の成因的相互関係について解析を進め、早い時期に学会発表および論文投稿を行いたい。3. 西彼杵地域の蛇紋岩メランジにブロックとして含まれる交代岩の記載的研究を行った。ヒスイ輝石岩については論文1編が受理公表されたほか、さらに1編を投稿中である。オンファス輝石岩については論文1編を投稿中である。また、これらの研究結果をハンガリーで開催されたIMA general meetingにてポスター発表した。
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Journal of Metamorphic Geology
巻: (In press)