研究概要 |
平成21年度は炭素質損石の酸分解と超強遠心力場発生装置を用いた重液分離、さらに難揮発性金属粒子の分離に先立って、各種難揮発性金属への希ガス捕獲率の見積もりとその定量方法の確立を行った。隕石の酸分解は2つの方法、すなわち塩酸・フッ酸を用いた分解方法と、CsF, HF, CS2,ジオキサシを用いた抽出分離法を試行した。これらの方法で分離した残渣の遠心機による分離を試みた。隕石分解粉末と粉末状の蟻酸タリウムを等量混合してカプセルに封入し、チタン合金製ローターにセットして25g以上の強い遠心力をかけて分離を試みた。温度を100℃程度に上昇させて蟻酸タリウムを液体にし、この状態で約一日以上放置することで重液分離を行った。その後回転はそのままにしながら温度を50℃以下に低下させることで蟻酸タリウムを固体に戻し、ゆっくりと回転を止めて試料カプセルを取り出した。カプセル垂直に切断することで試料を取り出し、これをSEM/EDSを用いて観察を行った。その結果、隕石の分解が不十分であったために難揮発性金属粒子を発見することが極めて困難であることが判明した。今後は新たに設計している隕石の酸分解装置によって更なる技術的改良が必要である。
|