• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

超強遠心力場を利用した隕石中の始原的希ガス捕獲成分の担体の探求

研究課題

研究課題/領域番号 21740391
研究機関独立行政法人日本原子力研究開発機構

研究代表者

大澤 崇人  独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (70414589)

キーワード惑星起源・進化 / 表面・界面物性 / phase Q / Q成分 / 炭素質コンドライト / 遠心分離
研究概要

炭素質阻石を塩酸・フッ酸を用いて徹底的に分解した後、残渣をCsF/HF溶液とジオキサンを用いて抽出分離を行い、軽く遠心分離を行った。水相と有機相の中間部に浮かび上がった物質(2とする)、そして沈澱した物質(3とする)をそれぞれ取りだして十分洗浄した後、蟻酸タリウムと共にステンレスカプセルに封入し、超遠心力場発生装置を用いて最大61万g、24時間、到達温度110℃の条件下で分離を行った。カプセルを切断し、カプセル中の試料の上部と下部とを分離して取り出して十分洗浄した。試料はそれぞれ2U、2L、3U、3Lと命名した。Uはカプセル上部、Lはカプセル下部を意味する。それぞれのフラクションのうちの一部を超精密天秤で秤量した後タンタル製サンプルホルダーに入れ、これをレーザーポートに導入して超高真空中で軽くプレヒートした。試料はNd-YAG CWレーザーを用いて含有している希ガスを全て取り出してHeからXeまでの希ガス同位体を分析した。その結果、3Uと3Lにはほとんど重い希ガスは含まれていなかった。2Uと2Lの比較では、2Lの重い希ガスの濃度は2Lより1桁以上高く、phase Qは2Lフラクションに濃縮していることが明らかとなった。この実験結果は、阻石中の炭素質物質、もしくはそれと強くコンタクトしている微小な物質のうち、重い物質中にphase Qが含まれていることを示している。またこの結果は、2Uの主要な構成物質が炭素質物質であることから、少なくとも全ての炭素質物質中に均質にphase Qが含まれてはいないことを明確に示しているだけでなく、phase Qが炭素質物質ではない重い微小粒子である可能性さえ暗示している。
そこで次に、2Lと2Uフラクションの粒子をSEW/EDSにて注意深く観察し、「元素分析を行った。その結果、いずれのフラクションでも炭素濃度が70atom%を超えており、炭素質物質であったが、2Lは2Uに対してNaとClが有為に高く、Caが有為に低かった。しかしこの結果がphase Qとどう結びつくのかは現状では不明確であった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Kr and Xe Ions Implanted on the Surfaces of Mo, Hf, Ta, W, Re, Au and Platinum Group Elements2012

    • 著者名/発表者名
      Osawa T.
    • 雑誌名

      Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B

      巻: 274 ページ: 93-99

  • [雑誌論文] Irradiation History of Itokawa Regolith Material Deduced from Noble Gases in the Hayabusa Samples2011

    • 著者名/発表者名
      Nagao K., Okazaki R., Nakamura T., Miura Y.N., Osawa T., 他
    • 雑誌名

      Science

      巻: 333 ページ: 1128-1131

    • DOI

      10.1126/science.1207785

    • 査読あり
  • [学会発表] 超遠心力場における固体状態の錫同位体分別2012

    • 著者名/発表者名
      大澤崇人
    • 学会等名
      春季第59回応用物理学関係連合講演会
    • 発表場所
      早稲田大学(招待講演)
    • 年月日
      2012-03-15
  • [学会発表] Separation of noble gas carrier in primitive meteorites using ultra centrifugation2011

    • 著者名/発表者名
      大澤崇人
    • 学会等名
      2011 Japan-Korea Joint Meeting of Isotope-Ratio Mass Spectrometry, The Mass Spectrometry Society of Japan
    • 発表場所
      釜山・韓国
    • 年月日
      2011-11-24
  • [図書] Exploring the Solar Wind2012

    • 著者名/発表者名
      大澤崇人
    • 総ページ数
      20
    • 出版者
      InTech, Croatia

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi