研究課題
本研究は、ひので衛星で観測される太陽非平衡プラズマのEUVスペクトルを分光診断するために、太陽のプラズマパラメータと同程度の実験室プラズマを用いて非平衡モデル開発を行うことが目的である。本年度は、電離平衡衝突輻射モデルの高精度化を継続しつつ、模擬実験データの解析によるモデルおよび原子データの評価を行った。また粒子拡散項を含むことによる一次元不純物輸送計算のトイモデルまで構築することが出来た。更に予定していた光電離過程の算入による非平衡光電離プラズマへの応用の可能性を議論した。理論部分では自然科学研究機構核融合科学研究所の村上泉氏と、模擬実験部分では同研究所の坂上裕之氏や電気通信大学の中村信行氏と協力して遂行しだ。非平衡モデルの基礎部分を用いた模擬実験の解析により、鉄イオンプラズマ及び光電離プラズマに関する研究発表を行った。電子イオンビームイオントラップ(EBIT)を用いた模擬実験の解析結果も、現在論文執筆中である。模擬実験としては、協力者と核融合研の大型ヘリカル装置(LHD)での鉄ペレット入射実験を実施し、鉄のEUVスベクトル線の計測を行った。特に、幅広い温度域で存在するネオン様鉄イオンからの発光(Fe XVII)に注目して計測を行った。昨年度の実験では解析した結果、Fe XVIIの計測は出来たが、十分な精度で計測できていなかったので再実験を試みた。現在、その解析途中である。目標である非平衡衝突幅射モデルの開発としては、まだトイモデル段階ではあるが、期間内に終えることが出来た。粒子拡散項算入による輸送計算部分は、これまでの模擬実験との比較を更に進め、現在のモデルをさらに発展させる。
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Applied Physics
巻: (印刷中)
Journal of Physics : CS
巻: 244 ページ: 042013-042016
Plasma and Fusion Research : RA
巻: 5 ページ: S2021-2024