研究課題
本研究計画では、申請者が新たに考案した高エネルギー密度電子制御プラズマデバイスにより超高強度レーザー生成相対論電子ビームの伝播を制御し、それにより励起される、単色性、指向性、波長可変性を有する極端紫外光領域のチェレンコフ光(チェレンコフEUV光)の光源開発を目的とした研究を行い、チェレンコフEUV光源の実現を目指している。今年度は理論計算によりチェレンコフEUV光の特性評価を行った。超短パルスレーザーにより生成されたエネルギー拡がりを有する電子ビーム(slope temperature : 2MeV)の伝播をプラズマデバイスにより制御し、その電子ビームをアルミニウムの平板エミッターに伝播させた場合について計算を行った。計算結果から、チェレンコフEUV光の強度はその光子エネルギーと放射角度に強く依存することが明らかとなった。光子エネルギー72.2eVが発光のピークであり、そのバンド幅は1.7%という高い単色性を有していた。この72.2eVはアルミニウムのL吸収端よりもわずかに低エネルギーであるが、これはエミッター中の吸収の影響でシフトしたものである。また、放射角度分布は電子ビームの伝播軸から8度の方向がピークとなる円錐状であった。レーザーからチェレンコフEUV光への変換効率は6x10^<-4>であった。これまでのチェレンコフ光源の研究では電子ビーム源として加速器が用いられてきたが、よりコンパクトなテーブルトップの超短パルスレーザーを用いて生成されるエネルギー拡がりを持つ電子ビームでも高い単色性、指向性を有することが明らかとなり、レーザー生成電子ビーム励起のチェレンコフEUV光源の実現への指針を示すことができた。
すべて 2009 その他
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Journal of Physics (採録決定)