研究概要 |
本年度前半では,本研究の目的を遂行するために重要なパラメータとなるプラズマフロー計測について,イオンドップラー分光法およびマッハプローブ計測法の開発を進めた。また,同時に,大域的なプラズマの挙動を観測するため,近紫外~可視領域用の小型トモグラフィカメラを開発した。また,プラズマ制御のための高速ガスパフバルブ,磁化同軸プラズマガンを応用した高速中性ガス加速装置の開発を進めた。 年度後半には,開発されたこれらの計測機器を使用し,磁場反転配位(FRC)プラズマのトロイダルフローの空間構造およびその時間発展について観測を進めた。この結果,逆磁場テータピンチ法により生成されるFRCにおいて,生成直後に常磁性方向のフローがあることがはじめて観測され,また,生成後,磁場のセパラトリックス近傍に,フローの速度シアが自発的に形成されることがわかった。また,この自己形成されるトロイダルフローについて,磁化同軸プラズマガンを用いたスフェトマック入射法により,ベータを大きく変化させない程度にトロイダル磁場を印加することで,積極的に制御できる可能性が実験的に示された。この実験では,トロイダルフローの減速に合わせて回転不安定性の成長速度の低下および閉じ込めの改善も観測されており,これまで同不安定性の唯一の制御法とされた多極磁場法に替わる,また先行技術と異なり閉じ込め性能の劣化を伴わない制御法である。この結果は22年度に韓国で開催される国際原子力機関・核融合エネルギー会議にて発表を予定している。
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