研究概要 |
最終年度であった23年度は,これまでに開発された磁場反転配位(FRC)プラズマの新奇安定化手法である磁気ヘリシティ注入法について,その原理の検証を進め,また,FRCの大域的安定性を支配する,FRCに特有な強いトロイダルフローの空間分布とその時間発展について解析を進めた。現在,成果をまとめた論文について,投稿準備を進めている。 磁気ヘリシティ注入による安定化法は,助成を受けた本研究内で提案,開発されたものであり,磁化同軸プラズマガンを用いて,対象となる磁場反転配位プラズマのベータ値を大きく変化させない程度の磁気ヘリシティを注入し,自己組織化過程を経て有意な回転変換をもつ安定かつ高ベータなプラズマの生成を目指すものである。本年度は,この安定化機構やトロイダルフロー発現のメカニズムを明らかにするため,前年度までに実施したドップラー分光計測の結果から,測定が線積分量であることを考慮して内部分布を再構成するためのプログラムを開発し,解析を進めた。また,その解析結果に見られたトロイダル流速の脈動が,装置軸方向にアルヴェン速度で進行する磁場の擾乱を仮定することで説明できることがわかった。さらに,このトロイダルフローに見られる脈動やフローの時間発展が,前述の磁気ヘリシティ注入の有無で変化することが観測されており,FRCの平衡および安定性のメカニズム解明へ向けた大きな成果であると言える。 また,本年度は,本研究によって得られた高ベータプラズモイド加速技術を応用し,小型短波長光源や高融点金属の高速製膜法に応用する手法に研究を発展,現在,出願準備を進めている。
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