研究課題
本研究の目的は、エネルギー広がりの少ない、フェムト秒レーザーを励起源とするフォトカソード型超短パルス電子銃の開発である。この型の電子銃に関しては先駆的開発例があり、それを本研究での開発ベースとするが、パルス幅のみでなくエネルギー広がりも同時に抑制した超短パルス電子銃を開発し、電子線回折という電子線弾性散乱実験への適用にとどまっている超短パルス電子銃を、様々な電子線非弾性散乱実験へとその適用範囲を飛躍的に拡張することを目指す。これを励起源として用いることにより、電子エネルギー損失分光など種々の電子線非弾性散乱実験一般の時間分解分光測定が可能となり、光吸収には無い物理的諸性質を併せ持つ電子衝突を活用した、動的素過程の新たな研究に挑む。本年度は、パルス電子銃の試作機の設計および性能評価チャンバーのための排気ポンプの整備を行った。本研究で開発する電子銃では、電子パルスの幅の広がりを抑えるために高い引き込み電場(~10kV/mm)が必要となるが、電圧を印加した際に電極間での放電を防ぐため、フォトカソードおよびアノードの電極形状を丸く設計した。また、電子パルス幅(時間的およびエネルギー的な幅)の広がりを最小限にするため、フォトカソードからイオン化領域までの距離が短くなるように、フォトカソード、アノード、ディフレクター、およびピンホールからなる簡便な電子銃を設計した。一方で、本研究で開発するパルス電子銃を用いて電子線非弾性散乱実験を行うために、時間分解電子線非弾性散乱実験に適した信号処理回路の製作や、高感度二次元検出器の立ち上げなどを平行して進めた。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (17件) 備考 (1件)
しょうとつ 7
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http://www.tagen.tohoku.ac.jp/modules/laboratory/index.php?laboid=42