研究課題
本研究ではサリチリデンアニリン誘導体を結晶中で互変異性反応を起こし、その反応後あるいは反応途中を中性子回折で構造解析を行うため、結晶中に未反応の分子(エノール体)と生成物分子(トランス・ケト体=着色体)が混在して結晶全体の回折強度が減衰することが予想される。エノール体とトランス・ケト体を精度よく構造解析し、水素原子の移動を直接観察するためには、できるだけ着色体であるトランス・ケト体の占有率、すなわち単結晶全体の反応率をあげる必要がある。一方で、サリチリデンアニリン誘導体は、単結晶状態で光照射を行う場合、単結晶の表面のみで反応が進行し、内部は未反応のままで残ってしまう。とくに単結晶中性子回折ではミリメートルレベルの大きな単結晶を必要とするため、とくに反応率が低くなる。そこで本年度は、サリチリデンアニリン誘導体の単結晶をできるだけ薄くすることを試み、長辺0.8mmの大きさを持ちながら、0.1mm程度の薄い結晶を作成することに成功した。これを大強度陽子加速器施設J-PARCの物質・生命科学実験施設MLFに設置された単結晶中性子回折装置iBIXを用いて、単結晶中性子回折を行った。測定は1日1フレームと長時間行い、中性子回折強度を十分に稼ぐことに成功した。
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