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2010 年度 実績報告書

ヒトの色覚に潜む量子過程の解明と医学・工学的応用

研究課題

研究課題/領域番号 21750019
研究機関京都大学

研究代表者

藤本 和宏  京都大学, 理学研究科, 研究員 (00511255)

キーワード生物物理 / 量子化学 / 生物・生体工学 / 励起状態
研究概要

(1)鳥類をはじめ多くの生物の中に紫外光(UV)を感知するレチナールタンパク質が存在する。本研究ではバクテリオロドプシン(bR)のM中間体に焦点を当て、レチナールタンパク質がUV光をセンシングする機構(カラー・チューニング)の解明に取り組んだ。SAC-CI法とQM/MM法を用いた電子状態計算によって、実験の吸収スペクトルの定量的な再現に成功した。この結果に基づいて励起エネルギーの分割を試みたところ、bRのM中間体ではレチナール色素の構造の捩れの効果がカラー・チューニングに最も大きな寄与をすることが分かった。更なる解析の結果、レチナール色素の捩れの効果の内、C6位の捩れの影響が最も大きく、C13位の捩れは2番目に大きな寄与であることを突き止めた。今回提案した機構は以前別の研究者によって提案されたもの(水素結合の影響)と大きく異なるが、その理由についても詳しく言及した。
(2)エキシトンCDスペクトルの高精度な計算を可能とするTDFI-Matrix法を開発した。この計算手法を2量体形成したレチナール色素に適用した結果、実験で観測されるエキシトンCDスペクトルの高精度な再現に成功した。また、双極子-双極子(dd)近似やTrESP法による計算も行い、従来のCDスペクトルの計算で何が問題であったかを明確に示した(原点依存性やセルフコンシステンシーなど)。更に、溶媒効果や分子間相互作用による電子分極効果がCDスペクトルに与える影響についても定量的に評価した。その結果、溶媒効果はCDスペクトルの形状に大きな影響を及ぼすことが分かった。これらの結果から、タンパク質のような大規模系に対するCDスペクトル計算の可能性を示すことができた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Transition-density-fragment interaction approach for exciton-coupled circular dichroism spectra2010

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiro J.Fujimoto
    • 雑誌名

      The Journal of Chemical Physics

      巻: 133 ページ: 124101(1-9)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Theoretical study of the opsin shift of deprotonated retinal schiff base in the M state of bacteriorhodopsin2010

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiro J.Fujimoto, Kota Asai, Jun-ya Hasegawa
    • 雑誌名

      Physical Chemistry Chemical Physics : PCCP

      巻: 12 ページ: 13107-13116

    • 査読あり
  • [学会発表] エキシトンCDスペクトルに関する計算手法の開発とレチナールタンパク質への応用2010

    • 著者名/発表者名
      藤本和宏
    • 学会等名
      第4回分子科学討論会
    • 発表場所
      大阪大学
    • 年月日
      2010-09-15
  • [備考]

    • URL

      http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/131807

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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