研究課題
擬一次元ハロゲン架橋錯体は大きな電荷移動吸収、高次の共鳴ラマン散乱、大きなStokesシフトを伴う発光、非常に大きな三次非線形光学応答、solitonやpolaronに由来するmid-gap吸収など非常に興味深い物性を示すことから非常に興味深い化合物群である。これらの錯体は、現在までに300種類以上の化合物が合成されているが、例外なく、Ni錯体はNi^<III>のMott-Hubbard(MH)状態、Pd錯体はPd^<II>-Pd^<IV>の電荷密度波(CDW)状態をとる。われわれは、長鎖アルキル基をカウンターイオンに導入したPd錯体[Pd(en)_2Br](C_n-Y)_2・H_2O(C_n-Y=dialkylsulfosuccinate)をすることにより、世界で初めてPd-Br錯体において、Pd(III)のMH状態を実現する二とに成功し、さらには、CDW-MH相転移を観測することに成功した。さらに、n=5の化合物において、誘電率の測定を行ったところ、相転移温度(Tc=205K)付近において非常に大きい比誘電率(約5000)を観測した。この値は、セラミックコンデンサに用いられているチタン酸バリウムのそれに匹敵する大きさである。また、より低温領域において、周波数依存する緩和型の誘電応答が観測され、何らかの遅いダイナミクスの存在が示唆された。また、この錯体において、CDWからMHへの光誘起相転移、および、MHからCDWへの光誘起相転移という双方向の光誘起相転移を初めて実現した。
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