研究概要 |
平成23年度は、新規アクチノイド層状化合物の合成試行を行い、比較研究のための基地のランタノイド層状化合物の物性測定を行った。それらの成果を以下に挙げる。 1.セリウム層状化合物CePt_2In_7,は、常圧で重い電子系反強磁性体であり、圧力誘起超伝導体であることが知られている。単結晶を用いた微視的物性測定である核磁気共鳴を用いて反強磁性状態を調べた結果、非整合反強磁性秩序状態が、整合反強磁性秩序と共存していることが分かった。また、圧力印加により、整合反強磁性秩序が安定化することも分かった。これらの結果は、米国物理学会誌Physical Review Bに掲載された。 2.典型的なセリウム層状化合物の重い電子系超伝導体CeCoIn_5の核磁気共鳴を行い、反強磁性揺らぎの増強の特徴について詳細に調べた。その結果、CeCoIn_5の面内反強磁性スピン揺らぎは、c軸方向の超伝導臨界磁場5T近傍の超低温で、長距離秩序を起こす寸前にまで増強しており、この系の異方的超伝導と密接に関連していることが示唆された。これらは、米国物理学会誌Physical Review Lettersに掲載された。 3.アクチノイド層状化合物AnTGa_5とセリウム層状化合物CeIIn_5(An=U,Np,Pu;T=Co,Rh)とにおいて、核磁気共鳴測定により磁気ゆらぎ異方性と超伝導転移温度T_cとの比較を行った。これらの結果について、2012年11月に大阪大学で開催された重い電子系に関する国際ワークショップ「TOKIMEKI2011]にて招待講演を行った。
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