本研究の目的は、手のひらサイズのコンパクト化学イメージスキャナを開発することである。化学イメージスキャナは溶液中のイオン分布を可視化することのできる半導体化学センサであるが、この測定システムを小型化するためには、光源と制御プログラムの新規開発が必要となる。そこで、本年度においては、小型ディスプレイモジュール上に表示した光点を光源として平面走査を行う新たな測定手法を考案し、また、測定用制御プログラムを新規に開発した。その後、検証実験を行い、ディスプレイ上に表示した光点をリフレッシュ周波数によって変調された光源をみなして測定が行えることを実証し、本手法による化学イメージの取得に成功した。本年度の成果によって、従来は高価で大型であったシステムを、非常に安価かつ小型に改良することが可能となる。 さらに、従来のシステムでは電流振幅を測定していた(振幅モード)が、光源変調と電流の位相差を測定する新しい手法(位相モード)の開発にも成功した。本測定法を従来の振幅モード測定と組み合わせることにより、培養細胞層の透過測定を行うにあたってさらに詳細な情報を取得できると期待される。
|