研究概要 |
本研究において,磁性ビーズを利用した新規のDNA変異検出法を開発した.比表面積が大きな磁性ビーズをプローブの固相担体に利用することで検出感度が向上し,また,フローフォーマットではインチューブフォーマットと比較してより短時間での高効率なハイブリダイゼーションが達成された.Pos.cntrl.(1(変異型):10(正常型))のフローフォーマットとインチューブフォーマットにおける蛍光強度をそれぞれI_<FP>, I_<IP>として比較すると,ハイブリダイゼーション時間が5分の場合にはI_<FP>/I_<IP>=3.5であるのに対し,ハイブリダイゼーション時間が1分の場合にはI_<FP>/I_<IP>=9.5となった.これはフローフォーマットのほうがハイブリダイゼーションのキネティクスが大きいことを示す.本アッセイによって,正常型DNAの分子集団に含まれる微量の変異型DNAの検出を試みたところ,変異型と正常型のテンプレートの濃度比が1:100まで明確に識別可能であった.また,本アッセイにおけるLDR後のプロセスに要した時間は4.4分((1)LDRカクテルとレポータープローブ溶液のプリヒーティング,1分;(2)LDRプロダクト/レポータープローブのハイブリッド形成反応,1分;(3)ハイブリダイゼーション,1分;(4)洗浄,1分;(5)蛍光スキャニング(スキャニング速度,mm^2/30s),21.6s/0.72mm^2, 21.6s/120×40pixel×6capillaries)であった.本研究により,微粒子材料を導入した迅速な一塩基異変異解析法が確立された.以上のように、交付申請書に記した癌遺伝子診断マイクロ流体デバイスの開発の前進につながる知見と成果を得ることができた.
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