研究課題
平成22年度は、昨年度開発した「Ni(0)触媒を用いたアルキン、イミン、AlMe_3からアザアルミナサイクルへの変換反応」において、イミンの代わりにカルボニル化合物を用いることにより対応するオキサアルミナサイクルの合成法の開発を目指して研究を進めたところ、0価ニッケル上でのアルキンとアルデヒドの酸化的環化がMe_2AlOTfなどのルイス酸の添加によって促進され、対応するオキサニッケラサイクルが生成することを明らかにした。得られたオキサニッケラサイクルに対してトリメチルアルミニウム(AlMe_3)を作用させたところ、ニッケルからアルミニウムへの金属交換反応を経てオキサアルミナサイクルが得られることを見いだした。さらに、触媒量の0価ニッケル存在下、アルキン、アルデヒド、AlMe_3をMe_2AlOTf共存下で反応させたところ、対応するオキサアルミナサイクルを高収率で与える触媒反応の開発に成功した。得られたオキサニッケラサイクルは、プロトン(H^+)で処理することにより対応するアリルアルコール誘導体へと変換することができる。触媒量のニッケルとアルキン、アルデヒド、AlMe_3という3種類の出発物質から有機アルミニウム化合物(クラーク数が大きく且つ安価、しかも反応性に富む)としてアリルアルコール誘導体を得ることができる本反応の脱離成分はエタンのみであり、反応の原子効率はきわめて高い。従って、グリーンケミストリーや元素戦略の観点から本触媒反応が達成できた意義は大きい。さらに、目的化合物から誘導される多種多様なアリルアルコール類は多くの天然物や生理活性物質に含まれる重要な構成要素であることから、本研究成果は錯体化学の範疇に留まらず、有機合成化学および触媒化学の分野にも波及効果を与えるものであり、学術的な観点からもその意義は大きい。
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