研究概要 |
ポリエン(Ar-(CH=CH)n-Ar)誘導体を主体とする直線状π共役化合物をスペーサーとし、その両末端またはスペーサー上にキレート部位を有した有機π共役系を合成した。これら有機π共役系に遷移金属錯体と反応させ、新たな有機共役-遷移金属複合系を構築した。例えば、テトラエン(n=4)の両末端にアリール基(Ar)としてレドックス活性なフェロセン(Fc)を導入したポリエンはシクロペンタジエニル基を有するルテニウム錯体と反応することにより、テトラエン上にルテニウムが二つ結合したルテニウム-鉄4核錯体を選択的に与えることを見出した。また、NMR測定によりテトラエン骨格は二つのルテニウムに配位することにより、s-シス体に構造変化することもわかった。 また、9,9-ジアルキルフルオレンまたはジアルコキシフェニレンとキレート部位であるシッフ塩基を主鎖骨格に含むπ共役高分子は様々な遷移金属との反応により錯形成することを見出した。例えば、ニッケル(II)との反応によって得られた有機π共役-遷移金属複合系はエレクトロクロミズムが観測された。
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