汎用高分子であるポリメタクリル酸メチルのシンジオタクチック体(st-PMMA)は、トルエン中でらせん構造を形成し、その内孔にC_<60>やC_<70>などのフラーレン類を取り込み、結晶性の包接錯体を形成する。本研究では、この分子包接現象について詳細に検討し、st-PMMAのらせん構造がゲスト分子のサイズに応じて柔軟かつ協同的に変化することを明らかにした。このサイズ認識能を利用することで、フラーレン含有煤中から高次フラーレン(>C_<76>)を分離精製することが可能である。また、ピレンやフェナントレンなどの多環芳香族炭化水素もst-PMMAらせんに包接されることを見出し、種々のゲスト分子をらせん内のナノ空間に配列制御できることを明らかにした。st-PMMAとの包接錯体形成を利用することで、C_<60>を極性溶媒に可溶化できることも示した。さらに、高分子反応による高立体規則性ポリメタクリル酸エステルの簡便な合成方法の確立にも成功した。
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