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2009 年度 実績報告書

界面活性剤と高分子電解質からなる複合体薄膜の誘電緩和解析

研究課題

研究課題/領域番号 21750131
研究機関立命館大学

研究代表者

中村 健二  立命館大学, 理工学部, 助教 (00511693)

キーワード高分子構造・物性 / 複合材料・物性 / 表面・界面物性 / 誘電緩和
研究概要

本研究は、高分子電解質と界面活性剤からなる複合体(PSC)の誘電緩和測定を行い、その緩和の帰属を明らかにすることを目的とする。PSCはラメラ構造などの秩序高いミクロ構造を有することが知られており、光学・電気材料への応用が期待されている。本研究では、ダイナミクスの見地からその電気物性を体系的に特徴付けることで、学術分野だけでなく応用分野への波及効果を期待する研究である。
今年度は、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムと様々なアルキル鎖長を有するアルキルトリメチルアンモニウムブロマイドからなるPSCを合成し、この誘電緩和挙動を検討した。このPSCはミクロ構造としてラメラ構造を有することが知られている。誘電緩和測定の結果、この系には4つの誘電緩和が観測された。測定温度や試料などの様々なファクターから検討した結果、4つの誘電緩和はそれぞれ、電極分極、イオン対、高分子鎖のセグメント運動、高分子鎖の側鎖(界面活性剤のアルキル鎖)に由来する緩和であると帰属した。このうち、高分子セグメント運動に由来する緩和の緩和時間はVogel-Fulcher-Tammann(VFT)型の温度依存性を示し、伝導度を含む他の3つの緩和の緩和時間はArrhenius型の温度依存性を示した。
この結果は、今までに報告されているPSCの誘電緩和挙動とは全く異なる結果である。従って、この成果だけでも十分新規性がある内容として公表できる。また、低分子のイオン性物質では、電極分極や伝導度などのイオンの拡散に起因する緩和はVFT型の温度依存性を示すことが知られている。ところが、PSC系に関してはArrhenius型の温度依存性を示すという特異な特性を示し、このような非Fragileな特性からPSCが新規材料として注目される可能性があるといえる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Systematic Dielectric and NMR Study of the Ionic Liquid 1-Alkyl-3-Methyl Imidazolium2010

    • 著者名/発表者名
      Kenji Nakamura et al.
    • 雑誌名

      ChemPhysChem 11

      ページ: 285-294

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Viscoelastic Behavior of Aqueous Solutions of Charged Hybrid Threadlike Micelles2010

    • 著者名/発表者名
      Kenji Nakamura et al.
    • 雑誌名

      Nihon Reorogi Gakkaishi 38

      ページ: 31-39

    • 査読あり
  • [学会発表] 高分子化イオン液体薄膜の誘電緩和ダイナミクス2009

    • 著者名/発表者名
      中村健二
    • 学会等名
      第57回レオロジー討論会
    • 発表場所
      宇部全日空ホテル(山口県)
    • 年月日
      2009-10-07
  • [学会発表] 高分子化イオン液体薄膜の誘電緩和ダイナミクス2009

    • 著者名/発表者名
      中村健二
    • 学会等名
      第58回高分子討論会
    • 発表場所
      熊本大学(熊本県)
    • 年月日
      2009-09-16
  • [学会発表] 高分子化イオン液体薄膜の誘電緩和挙動2009

    • 著者名/発表者名
      中村健二
    • 学会等名
      第4回ソフトマター物理領域研究会
    • 発表場所
      北海道大学(北海道)
    • 年月日
      2009-07-01
  • [学会発表] イオン液体の電極分極挙動の誘電的解析2009

    • 著者名/発表者名
      中村健二
    • 学会等名
      第36回レオロジー年次大会
    • 発表場所
      京大会館(京都府)
    • 年月日
      2009-05-14

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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