研究概要 |
異なる化学種が異方的に相分離したヘテロ構造ナノ粒子は、組み合わせ次第で様々な新規特性を発現できる可能性を秘めており、近年注目を集めている。特に、半導体/金属ヘテロ構造ナノ粒子では、半導体で生成した励起電子を金属に移動させることにより、長寿命電荷分離状態を実現できる可能性がある。本研究では、伝導体(半導体)-フェルミエネルギー(金属)ギャップの広いZnS/Auヘテロ構造ナノ粒子に着目し、その合成と光学特性についての検討を行った。酢酸亜鉛とポリエチレングリコールを溶媒兼配位子のオレイルアミンに溶解させ、窒素雰囲気下、170℃で1時間加熱した。硫黄粉末(192mg,6.0mmol)のオレイルアミン溶液(3mL)をすばやく加え、290℃で1時間保持し、エタノールで精製することにより、粒径8.7±0.6nmと単分散ZnSナノ粒子を合成した。また、塩化亜鉛、オレイルアミン、オレイン酸をn-オクチルエーテルに溶解させ、窒素雰囲気下、290℃で20分間加熱した後、エタノールで精製することにより、粒径5.4±0.9nmのZnSナノ粒子を合成した。続いて、8.4±0.6nmのZnS NPsと塩化金酸・4水和物、配位子オレイルアミンをトルエンに溶解させ、窒素雰囲気下、100℃で10分間加熱することで、ZnS上に約1.6nmのAu相を成長させることに成功した。また、5.4±0.9nmのZnSナノ粒子を種に同様にして得られたZnS/Auナノ粒子では、ZnS相からの発光が消光された。この原因として、Auへのエネルギー移動による消光と、励起電子のAu相への移動による励起子の再結合抑制が考えられる。
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