研究代表者が創り出したパラ位連結フェノール環状ホスト分子"Pillar[5]arene"をビルディングブロックとした分子チューブの創成を行う。Pillar[5]areneは、フェノール誘導体を連結しているメチレンの結合様式が、カリックスアレーンの場合のメタ位ではなくパラ位であるため、(1)優れた対称性、(2)上下に高い反応性の水酸基を持つという特徴を有している。そのため、Pillar[5]areneをビルディシグブロックとして積み重ねていくと、Pillar[5]areneの(1)優れた対称性から、非常に真っ直ぐで剛直な分子チューブが得られると予測される。Pillmar[5]areneの空孔は電子豊富であるため、電子不足なビオロゲンを強く包接することが分かっている。そこで本年度は、ビオロゲンを連結したポリビオロゲンを軸分子とし、複数のPillar[5]areneを軸分子にスレッディングさせた、擬ポリロタキサンの合成を行った。さらに、嵩高くPillar[5]areneの空孔を通過できないアダマンチル基を、軸分子の両端にストッパーとして導入し、ポリロタキサンの合成を行うことに成功した。一般的にポリロタキサンの収率は、ポリロタキサンの合成中に輪成分のデスレッティングが起こるため、20%以下の低収率であるが、本研究では90%を超える高収率でポリロタキサンを得ることができた。全く新しいタイプのポリロタキサンとして、注目を集めている。来年度は、Pillar[5]areneの上下に配置する水酸基をエーテル結合等で連結した後、ストッパー、軸分子を除くことにより、分子チューブの合成を行う。
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