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2009 年度 実績報告書

膜界面作用がもたらす麻酔発現の機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 21750143
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

山本 靖  名古屋工業大学, 工学研究科, 助教 (30335088)

キーワードリン脂質単分子膜 / 滴下法 / 顕微鏡観察 / 表面張力法 / 水平型QCM・QCI装置 / エンフルラン / 界面粘性増加 / 特異濃度点
研究概要

平成21年度の研究計画に従い、以下の研究を行なった。
【膜の集合形態の観察】
膜物質としてdipalmitoyl phosphatidyl choline(DPPC)を選び、26℃において、滴下法により水面上に作成したDPPC単分子膜の集合形態の観察を、蛍光顕微鏡・ブリュースター角顕微鏡・表面張力法を用いて行なった。顕微鏡観察において、膨張→凝集転移時に、全体に窪みのある特異的な膜形成過程を観察した。圧縮法では島状ドメイン膜が観察されることから、膜分子の親水基と水分子とが最適な配置で水素結合(水和)した膨潤な膜が形成されたものと考えられる。表面張力の結果からも、圧縮法に比べ分子占有面積が3割程度大きいことを見出しており、本研究で用いた滴下法により作成された単分子膜は、流動性のある生体膜のモデルとして有用であることが分かった。
【膜への麻酔薬の作用効果】
水面上DPPC単分子膜への麻酔薬エンフルランの作用効果(濃度依存性)を、水平型QCM・QCI測定装置(固有振動数:6MHz、感度:±0.5Hz(QCM)、±0.02Ω(QCI))を用いて行なった。エンフルラン濃度の増加に伴い、QCMでは振動数の減少(吸着量の増加)を、QCIでは抵抗値の増加(界面粘性の増加)を観測した。QCMとQCIとで変化の開始濃度が異なったことから、膜/水界面にエンフルラン分子がある程度吸着して初めて、DPPC単分子膜を含む界面の粘性が変化することが分かった。6mMの濃度近傍で振動数・抵抗値ともに変化量が収束後、不連続に変化したことから、エンフルラン準飽和吸着層が形成され、さらに多層吸着が生じることが分かった。このような特異濃度点は、臨床における麻酔発現と密接に関わっているものと考えられる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2009 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] ナノレベル超微量物質検出装置の開発および微小空開での界面諸現象の解明-麻酔作用の分子論的考察-2009

    • 著者名/発表者名
      山本靖
    • 雑誌名

      東海化学工業会会報 263

      ページ: 15-17

    • 査読あり
  • [学会発表] 脂肪酸ナトリウム塩の振動スペクトル解析2009

    • 著者名/発表者名
      薛苹
    • 学会等名
      第40回中部化学関係学協会支部連合秋季大会
    • 発表場所
      岐阜県岐阜市 岐阜大学
    • 年月日
      2009-11-08
  • [学会発表] 物理化学的手法によるリン脂質単分子膜への揮発性麻酔薬の作用機構2009

    • 著者名/発表者名
      山本靖
    • 学会等名
      第47回日本生物物理学会年会
    • 発表場所
      徳島県徳島市 アスティとくしま
    • 年月日
      2009-11-01
  • [学会発表] リン脂質-コレステロール混合単分子膜と揮発性麻酔分子enfluraneとの相互作用2009

    • 著者名/発表者名
      横山高視
    • 学会等名
      第62回コロイドおよび界面化学討論会
    • 発表場所
      岡山県岡山市 岡山理科大学
    • 年月日
      2009-09-18
  • [学会発表] セチルトリメチルアンモニウム-安息香酸誘導体塩の水溶液物性2009

    • 著者名/発表者名
      新井岳
    • 学会等名
      第62回コロイドおよび界面化学討論会
    • 発表場所
      岡山県岡山市 岡山理科大学
    • 年月日
      2009-09-18
  • [学会発表] アルキルトリメチルアンモニウム-サリチル酸塩の水溶液物性2009

    • 著者名/発表者名
      新井岳
    • 学会等名
      日本油化学会第48回年会
    • 発表場所
      愛知県名古屋市 名古屋工業大学
    • 年月日
      2009-09-12
  • [学会発表] ナノレベル超微量物質検出装置の開発および微小空間での界面諸現象の解明-麻酔作用の分子論的考察-2009

    • 著者名/発表者名
      山本靖
    • 学会等名
      第44回東海化学工業会賞受賞講演会
    • 発表場所
      愛知県名古屋市 名古屋工業技術研究所
    • 年月日
      2009-05-14
  • [備考]

    • URL

      http://www.ach.nitech.ac.jp/%7Ephyschem/taga/Otop.html

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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