研究概要 |
N,N-ジメチルアニリン-フラビン(DMA-F1)と水素結合サイトを有するフラーレン誘導体(SRC^<60>and DRC^<60>)によって形成される超分子クラスターの光電変換特性について報告する。超分子の形成についてはTHF中で紫外可視吸収スペクトルによって確認した。それぞれの超分子クラスター((DMA-F1/SRC^<60>)n,(2DMA-F1/DRC^<60>)n)は超分子を形成したTHF溶液中にヘキサンを加えて作製した。作製したクラスターを透過型電子顕微鏡で観測した結果、(DMA-FUSRC^<60>)nのクラスターはネットワークを形成し、サブミクロンオーダーの構造を形成していた(φ=200-500nm)。一方(2DMA-F1/DRC^<60>)nのクラスターは直径約40nmの均一なナノ粒子を形成していた。次にそれぞれのクラスターを酸化スズ透明電極基板(OTE/SnO_2)の上に電気泳動法を用いて吸着させて電極を作製した(OTE/SnO_2/(DMA-F1/SRC^<60>)n,OTE/SnO_2/(2DMA-F1/DRC^<60>)n)。作用極にクラスターを吸着させた薄膜電極、対局に白金電極、LiIおよびI2を含むアセトニトリル溶液を電解液として、湿式二極系を構成した。電極としてOTE/SnO_2/(DMA-F1/SRC^<60>)nを用いた外部量子効率(IPCE)の値は3.0%であったのに対し、OTE/SnO_2/(2DMA-F1/DRC^<60>)nでは5.1%と約2倍大きな値を示した。この結果から色素はネットワークを形成するよりも、均一なナノ粒子を形成する方がより高効率な光電流の発生を促すことが考えられる。また、これらの超分子クラスターの光ダイナミクスについてもレーザーフラッシュフォトリシスを用いて、詳細に検討した。
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