研究概要 |
環境保護の観点から、石油系燃料中の硫黄分のさらなる低減が求められている。石油中の硫黄分の除去を行う水素化脱硫(HDS)プロセスには硫化処理が施されたCoMo/Al_2O_3系触媒が用いられているが、この触媒の表面構造はいまだに明らかにされていない。新規の水素化脱硫触媒としてリン化物、窒化物、炭化物などが注目されている。一方、これまでに申請者は高活性な貴金属(NM)系触媒の開発に成功している。そこでリン化物とNM触媒の特性を併せ持つ貴金属リン化物系脱硫触媒の可能性に着目し、高い脱硫活性と水素の使用量を抑えた触媒を開発する。 平成21年度は、以下のことを明らかにした。 1.NM-P/siO_2触媒の昇温還元(TPR)スペクトルおよびXRDの結果から,水素還元後に貴金属リン化物が生成することがわかった。また、導入したGC(FPD)の分析結果から,リンの一部は水素還元中にホスフィンになることが明らかとなった。 2.チオフェンのHDS反応に対するNM-P/SiO_2触媒の活性はNMの種類によって異なり、活性の序列はRh>Pd>Ru>Ptとなった。 3.Rh-P触媒のHDS活性に対する担体効果について検討した。その結果、活性の序列はSiO_2≒TiO_2>MgO>Al_2O_3となり、SiO_2およびTiO_2がRh-P触媒の担体として優れていることを明らかにした。さらに、SiO_2およびTiO_2を複合化した担体(Ti-SiO_2)を用いることで高活性化が可能であることがわかった。
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