研究概要 |
環境保護の観点から、石油系燃料中の硫黄分のさらなる低減が求められている。石油中の硫黄分の除去を行う水素化脱硫(HDS)プロセスには硫化処理が施されたCoMo/Al_2O_3系触媒が用いられている。しかしながら、硫黄分規制値の強化に対応するために新規の高活性HDS触媒の開発が望まれている。前年度、申請者は新しいHDS触媒として貴金属リン化物(NM-P)系触媒の調製に成功した。 そこで平成22年度は以下のことについて検討した。 1.貴金属リン化物(NM-P)触媒の調製条件を詳細に検討するため,昇温還元(TPR)装置にFPDを有するGCを組み込み,高温還元でのリンの消費について検討を行った。その結果、SiO_2担体を用いた場合、5%H_2-N_2混合ガス中では700℃以上でRh-P/SiO_2触媒からのPの脱離を確認した。 2.アセチルアセトナト(AcAc)錯体を用いたNM-P触媒を調製し、塩化物(Cl)を出発物質に用いた場合との比較を行った。その結果、Pd-P触媒においてAcAcを用いるとClを用いた場合よりも高いHDS活性が得られた。また、この活性は硫化処理したCoMoP/Al_2O_3触媒の活性を上回ることを明らかにした。したがって、AcAc錯体を出発物質に用いることで,高活性なNM-P系脱硫触媒を調製することが可能であることを見出した。 3.AcAc錯体から調製したPd-P触媒が高活性を示す原因を明らかにするため、CO吸着量から分散度の評価を行った。AcAcを出発物質に用いて調製したPd-P/SiO_2触媒は,Clから調製した触媒よりもCO吸着量が多いことがわかった。これより、AcAcを出発物質に用いるとClの場合よりもPd-Pの分散度が高いため、高いHDS活性を示したと考えられる。
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