研究概要 |
固体金ナノ粒子触媒では、担体の種類によって触媒活性・生成物選択性が大きく変化することが知られている。これまで、金が高い触媒活性を示す担体としては、TiO_2,CeO_2などの半導体性金属酸化物が一般的であり、シリカや有機高分子などの酸素欠陥サイトを持たない不活性な担体は不利とされてきた。ところが、メソポーラス有機シリカに担持した金ナノ粒子を用いて、無溶媒でテトラリンの酸素酸化を行った結果、Au/TiO_2などよりも高い触媒活性を示すことを明らかにした。極性の低い基質の無溶媒酸化では、疎水性の高い有機シリカが担体として、より適していると考えられる。 また、種々の酸化物担持金触媒を用いてベンジルアルコールのアンモ酸化を検討した結果、金を担持していない酸化物(MnO_2,Co_3O_4,NiO)単独でも、ベンゾニトリルが選択的に得られることを見出した。基質適用性を検討した結果、ベンジルアルコールよりも反応性の低い脂肪族アルコールでも選択的に対応するニトリルを与え、不飽和アルコールでは、二重結合を酸化することなく対応するニトリルが得られるなど、MnO_2はアルコールに高い選択性を示すことを明らかにした。 更に、反応時間を長くするとアミドの生成が起こり、新たに水を添加しなくてもニトリルの水和が進行することが分かった。脂肪族アルコールがニトリルの水和においては、金を担持したAu/MnO_2がMnO_2単独よりも高いアミド収率を与え、金の担持効果が見られた。反応条件の最適化によりアルコールからワンポットで、転化率>99%でアミド収率を80%まで向上させることができた。
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