研究課題
本年度は、現有設備であるナノ秒レーザーフラッシュホトリシス装置を改良し、レーザーフラッシュホトリシス法で用いるモニター光を楕円偏光とし、サンプルにおいて引き起こるCDに由来する楕円偏光の楕円率変化を高感度で検出する、マイクロ秒の時間分解能を有するCD測定装置を構築することに成功した。Kligerらによって提案されている手法を元に、本年度ではこの手法をさらに高感度化するための手法を開発し、基礎的なデータを得ることができた。その成果を学会にて発表することができた。また、この成果に関して、特許出願中である。またストップトフロー法を用いたサブミリ秒の時間分解能を有する円二色性(CD)測定装置の構築を行っている。購入したストップトフロー装置を上記のCD測定装置に組み込むことにより、DNA-色素間の結合速度を測定する装置の構築に取り掛かった。現在、二重螺旋DNAとtetrakis(4-N-methylpyridiumyl)porphine(H2TMPyP)におけるストップトフロー法による時間分解CD測定の基礎的データを収集している。これらと並行して、時間分解CDスペクトルと定常CDスペクトルとの相違点を検討することで、どの結合様式が観測されているか検討が必要となるため、DNAへのH2TMPyPの滴定実験におけるUV-visスペクトルおよびCDスペクトル変化を元に、DNAとH2TMPyPにおける相互作用の確認、結合様式に関する定量的なデータを得た。
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Journal of Inorganic Biochemistry 103
ページ: 989-996
The Journal of Physical Chemistry C 113
ページ: 10798-10806