本研究では、DNAインク検出技術に応用可能な新規蛍光プローブ(EQF-MB)を搭載したDNAチップの開発と、それを用いたDNAインク検出法の開発を行っている。本研究のプローブに用いるインテリジェント蛍光核酸は、我々がこれまで開発してきた特定塩基配列の識別プローブであるBDF塩基の開発過程で見出したものをDNAインク検出用に最適化したものであり、これらを既存の遺伝子検出プローブであるモレキュラービーコン(MB)に応用する。平成21年度は、グアニン塩基で強く消光され、かつ、モレキュラービーコンの末端以外のステム部位に導入できるような蛍光核酸を実際に設計し、それらの合成を行った。 分子設計を行った結果、グアニン塩基のC8位にフレキシブルなアルキルアミノリンカーを導入して、そこにピレン誘導体を導入した蛍光核酸を合成することで、合目的なプローブが得られると考えられた。そのため本年度は実際にピレンを導入したグアニン誘導体の合成を行い、更にはそれらをオリゴヌクレオチドに導入した。合成ルートを種々検討し最適化を行った結果、目的とするヌクレオシドモノマー分子を得ることができ、更に、本年度の目標であったクエンチャーフリーモレキュラービーコンの配列を有するDNA鎖を得ることができた。 現在、得られたプローブの塩基識別能に関する検討を行っており、十分な塩基識別能が得られたらDNAインク検出用プローブへの応用を検討する予定である。
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