研究概要 |
末端にジスルフィド基を有するホスホニウム型イオン液体を新規に合成し,Au電極上への修飾を行った.作成されたイオン液体修飾電極はIR-RASスペクトル,サイクリックボルタンメトリーおよび水晶振動子マイクロバランス法(QCM)により同定された.続いて得られたイオン液体修飾電極上への各種金属錯体の導入を試みた.その結果,イオン液体修飾電極作成後では金属錯体を含む溶液に修飾電極を浸漬させても上手く錯体が導入されないことが判明した.そこでイオン液体を修飾する際に同時に金属錯体を共存させたところ,様々な金属錯体を導入することに成功した.金属錯体の導入の確認はIR-RASスペクトルおよびサイクリックボルタンメトリーにより行った.導入された金属錯体はフェロセン,[Ru(NH_3)_6]^<2+>および[Fe(CN)_6]^<3->の3種類であるが,電荷を問わずいずれの錯体もイオン液体修飾電極上へ導入できたことから,単純な静電相互作用により各錯体が電極上に固定化された訳ではないことが示唆された.各金属錯体が導入されたイオン液体修飾電極の酸化還元電位は均一溶液中のものと近く,導入された各錯体の状態が溶液中の状態に近いことも示唆された.従って,当初の狙い通りのイオン液体修飾電極を構築することに成功した。現在,目的の鉄複核錯体の配位子合成に取り掛かっており,完成次第このイオン液体修飾電極に鉄複核錯体を導入し,各種物性の測定を行う予定である.
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