光照射自己形成プロセスにより作製される固体色素レーザ素子について、異なった動作波長を有する導波路発光デバイスが直列に結合された多機能集積型素子の試作を行った。動作波長の異なる導波路の作製には、異なった色素がドープされた光硬化性樹脂を使用することとし、ある一つのポートからの露光によりそれらを一括で硬化、作製することを試みた。デバイス作製のためのプラットフォームとして複数の混合液を充填できる微細管スロットが隣接された構造が必要であり、厚膜レジストであるSU-8を使用することによりこれを実現した。具体的には、パターニングされたSU-8基板上に光ファイバ端を設置し、ポリジメチルシロキサンの薄膜で上部から固定してモジュールとした。導波路材料には、光硬化性のモノマーとしてペンタエリスリトールトリアクリレートとベンジルアクリレートの混合樹脂を、活性媒体としては有機色素であるクマリン47、クマリン153、ローダミン640を使用した。コア直径50umの光ファイバポートからの375nmのレーザ光による一括露光により、これらの色素がドープされたポリマー導波路の直列接続構造を実現した。さらに、UVライト照射下において波長400nmから700nmの広帯域な発光スペクトルがファイバ中の導波光として得られ、これは集積型の広帯域光源として有望であると考えられる。また、光通信用のシングルモードファイバ用いても同様の試作を行い、10um程度のコア直径を持つ光導波路構造においても広帯域な白色光源の集積作製に成功した。
|