研究課題
平成22年度は、21年度に試作したマイクロ波の電場および磁場を分離照射が可能な装置を用いて、光触媒に与える電場および磁場の影響を検討した。モデル汚染物質として4-クロロフェノール(4-CP)水溶液を用い、TiO_2およびZnO粉末をこの水溶液中へ懸濁させ、紫外線およびマイクロ波を照射させながら分解を行った。4-CPの分解速度を算出し、これらの速度から触媒活性の評価を行った。マイクロ波は磁場または電場/磁場混合の条件で照射を行った。また、ヒーター加熱を併用した実験も行い、マイクロ波による加熱効果についても検討した。TiO_2を用いた4-CPの分解において、紫外線照射下で電場/磁場を照射すると、触媒活性が最上することが分かった。TiO_2における電場成分の影響は、TiO_2格子間の振動を誘発すると考えられ、これが触媒活性を向上させた原因であると考えられる。一方、磁性を有さないTiO_2へ、磁場と紫外線を同時照射しても、電場のそれに比べ効果が低いものの、触媒活性を引き起こすことが分かった。ZnOを用いた実験より、電場照射を行うと触媒活性が低下してしまうことが分かった。外部加熱と紫外線を照射した実験からも、ZnOの触媒活性が同様に低下したため、熱の成分がZnOの触媒活性を低下させる要因であることが分かった。一方、磁場成分と紫外線を照射すると、著しく触媒活性が向上した。ZnOは磁性を持たないことから、磁場による触媒の磁性加熱が原因でないことが予想できる。また、ZnO反応系を冷却しながらマイクロ波を照射し、熱の向上を抑えると、電場を照射してもZnOの触媒活性が向上することが分かった。これらの結果より、光触媒の種類により必要なマイクロ波成分が異なることが分かった。本研究で試作した装置はほとんど例がなく、さらに化学反応に対するマイクロ波の磁場および電場の効果についての知見がないことから全く新しいマイクロ波効果の体系化ができたと考えられる。
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