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2011 年度 実績報告書

高感度フェムト秒拡散反射分光法による窒素ドープ酸化チタン光触媒の研究

研究課題

研究課題/領域番号 21750212
研究機関株式会社豊田中央研究所

研究代表者

山中 健一  株式会社豊田中央研究所, 稲垣特別研究室, 副研究員 (40418455)

キーワード光触媒 / 酸化チタン / 可視光応答 / 時間分解分光 / 拡散反射 / 過渡吸収
研究概要

窒素ドープ酸化チタン(N-TiO2)は最も広く研究されている可視光応答光触媒のひとつである.光触媒反応を深く理解することを目的として電子・正孔対(キャリア)の初期過程を研究した.1、構築した高感度フェムト秒拡散反射分光法(TDR)によるN-TiO2粉末の過渡吸収測定を行い,キャリア初期過程におけるN-ドープ量依存性,励起波長依存性を調べた.(1)紫外光励起により生成した伝導体電子は酸素欠陥へ深くトラップされ,その速度はNドープ量に比例しなかった.トラップ過程が電子の拡散律速であることが示唆された.(2)可視光励起後のスペクトルの形状から,電子は励起直後から酸素欠陥に深くトラップされていることが示唆された.Nドープ処理によって生成した酸素欠陥はN原子の近傍に形成される可能性があり,そのためTi3d←N2pの励起により生じた伝導帯電子は超高速でトラップされたと考えられる.(3)結果を論文にまとめ,発表した.2、CuまたはFeを担持したN-TiO2のTDR測定を行った.(1)紫外光(360nm)励起ではN-TiO2の電子の吸収が時間と共に担持Cu種またはFe種の一電子還元種の吸収へ変化し,電子移動が示唆された.(2)可視光(450nm)励起ではN-TiO2で観測される吸収帯とCuまたはFe部位を選択励起したときに観測される吸収帯の和として解析され,電子移動は確認されなかった.(3)N-TiO2上のFe3+のESR信号は光照射で増減しないことが確認された.(4)これらの結果と光触媒活性の相関を議論する論文を準備中である.3、窒素ドープ酸化タンタル(N-Ta2O5)への展開を試みた.TDR法で得られた過渡吸収はブロードで帰属できなかったが,時間分解発光分光法が有効であることが分かった.Nドープ量が増すにつれ,より多くの電子が深い欠陥サイトへトラップされると考えられる結果を得た.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Charge-Carrier Dynamics in Nitrogen-Doped TiO_2 Powder Studied by Femtosecond Time-Resolved Diffuse Reflectance Spectroscopy2012

    • 著者名/発表者名
      Ken-ichi Yamanaka and Takeshi Morikawa
    • 雑誌名

      J. Phys. Chem. C.

      巻: Vol.116 ページ: 1286-1292

    • DOI

      DOI:10.1021/jp209210u

    • 査読あり
  • [学会発表] 窒素ドープ酸化チタン粉末における光励起キャリアの初期過程解明2012

    • 著者名/発表者名
      山中健一, 森川健志
    • 学会等名
      日本化学会第92春季年会(2012)
    • 発表場所
      慶應義塾大学日吉キャンパス(神奈川県)
    • 年月日
      2012-03-26
  • [学会発表] 鉄担持窒素ドープ酸化チタンのキャリアの初期過程2011

    • 著者名/発表者名
      山中健一, 森川健志
    • 学会等名
      第30回固体・表面光化学討論会
    • 発表場所
      信州科学技術総合振興センター(長野県)
    • 年月日
      2011-11-21
  • [学会発表] 窒素ドープ酸化タンタル粉末における光励起キャリアの初期過程2011

    • 著者名/発表者名
      山中健一, 佐藤俊介, 梶野勉, 森川健志
    • 学会等名
      2011年光化学討論会
    • 発表場所
      宮崎市河畔コンベンションエリア(宮崎県)
    • 年月日
      2011-09-08

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公開日: 2013-06-26  

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