本研究では、溶融エレクトロスピニング法によるイソタクチックポリプロピレン(iPP)ナノファイバーの調製、および物性評価を目的とし、様々な紡糸条件や、試料で紡糸を行い、これらがファイバー径に与える影響について検討した。また、このようにして得られたファイバーの物性を評価するために、DSC測定および引張試験を行った。以下に本研究で得られた結果を示す。 ・ES法でのiPPナノファイバーの紡糸に成功した。 ・電場強度が弱いほど、より細いファイバーを多く紡糸することがわかった。 ・紡糸温度を変化させて実験を行った結果、最適の紡糸温度があることがわかった。 ・分子量が低いほど、より細いファイバーを紡糸することがわかった。 ・分子量分布が比較的狭い試料では、ファイバー径分布が狭くなることがわかった。 ・これらよりファイバー径には、溶融粘度や表面張力が大きく関係していると示唆される。 ・DSC測定により溶融ES法によって紡糸されたファイバーはメソフェーズ相を持つことがわかった。 ・引張試験によって得られたヤング率よりファイバーは細いものほど配向し、強度が上昇していることがわかった。
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