研究概要 |
イオン液体を溶媒とし、水素結合により架橋性超分子を形成させて超分子イオンゲルを調製した。具体的にはまず2つのポリマーをRAFT重合法で合成した。1つは組成が1:8:1のABAトリブロック共重合体(M_n=50k、poly(2-vinylpyridine-b-ethyl acrylate-b-2-vinyl pyridine)(VEAV))で、もう1つはM_n=6.6kのpoly(4-hydroxystyrelle)(H)である。これらを不揮発で高温でも安定なイオン液体中でVEAV/H/IL=10/X/90(X=0,0.5,1,2,4,8)という重量比となるようにブレンドし、試料を得た。VのピリジンユニットとHのフェノールユニット間の水素結合で擬似架橋が生じる。ブレンドにおいてHの量を変化させていった結果、Hの量が少ないときはゲルとはならず、ある一定量を越えたところでゲルとなることが分かった。具体的にはHの量がX=1以上でゲル状(常温)となった。ゲル状となった試料に対して動的粘弾性測定を行った結果、低温ではゲルの挙動を、高温では液体の挙動を示し、これらの挙動は熱可逆的であることを確認した。またHの量が増加するにつれてゲル化点が上昇することも分かった。さらにV/Hペアの水素結合部位の化学量論を考慮することによってゲルの丈夫さ、刺激に応答する俊敏さなども制御できることが分かった。 上記成果について研究発表を行い、論文も発表した。
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