2種類の超分子ポリマーゲルを調製し、その粘弾性測定を行った。調製した超分子ポリマーゲルのうち1つは、水素結合性超分子イオンゲル(VEAV/H/IL)で、ポリ2ビニルピリジン-ポリアクリル酸エチル-ポリ2ビニルピリジンブロック共重合体(VEAV、重合度比40:430:40)とポリ4ヒドロキシスチレン(H)とを不揮発で高温でも安定なイオン液体(IL)中で混合することにより得た。もう1つはカルボン酸両末端ポリアクリル酸エチル(EA)とポリエチレンイミン(I)とを混合することにより得られるバルクの水素結合性超分子ポリマーゲル(EA/I)である。前者の超分子イオンゲル(VEAV/H/IL)に関しては、VEAV、H、ILの重量比を8:2:90で固定し、一方でHの重合度を4から77まで変化させて複数の試料を調製した。この超分子イオンゲルに対して動的粘弾性測定を行ったところ、Hの重合度が大きくなるにつれて、つまり1分子あたりの水素結合性官能基数が増えるにつれて、見かけのゲル解離温度(貯蔵弾性率と損失弾性率が等しくなる温度)が110℃程度(重合度4のとき)から140℃程度(重合度77のとき)へと上昇することが分かった。後者のバルク超分子ポリマーゲル(EA/I)についても動的粘弾性測定を行ったところ、前者の超分子イオンゲル(VEAV/H/IL)と比較して2~3ケタ程度大きな弾性率が観測され、かつゲル解離温度も室温付近と低温になることが分かった。 上記の研究成果について学会発表を行い、原著論文(Softe Matter誌)、総説論文(ケミカルエンジニアリング誌)も発表した。Soft Matter誌に掲載された論文は、Soft Matter誌2011年1月期のTop Ten most-read articlesに選ばれた。
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