本研究では、X線CTの空間分解能の向上にむけた要素技術の開発を目標にしています。 近年、X線CTは高分解能化が進み、数μm程度の空間分解能が比較的容易に達成できており、使い勝手の良いX線CT装置が次々に商用化されています。一方で、それ以上の高空間分解能化は非常な困難が伴い、商用化された装置も存在しますが、実際の研究現場では、潜在的な性能を発揮できていません。その理由として、CT撮影時に用いる回転駆動機構の軸プレの問題や高分解能化にともなるコントラストの低下が挙げられます。本研究では、軸プレの要因となっているステッピングモーター中の機械式ベアリングを排除するため、連続回転するスピンドルモーターを用いたCTの実証試験を目指しています。スピンドルCTの方式にはいくつか考えられるのですが、本研究でも最も機構が単純な高速カメラを用いる方法を検討しています。H21年度では、高速カメラ・スピンドルモータ・制御システム等の購入及び試験駆動を行いました。 一方で、コントラストの低下もX線CTでは重要な問題です。この点に関して、従来より高コントラストX線CTの開発研究を行っていますが、H21年度では、高コントラスト化のための装置設計に関する研究を行いました。これに関連し、高分子材料研究における高コントラストX線CTの貢献について25件の学会発表を実施しました。
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