当該年度における研究の目的は、表面のみをポリイオンコンプレックス膜で被覆された(ポリビニルアミド-co-ポリビニルアミン/ポリアクリル酸)ヒドロゲルを調製する手法を確立すること、および本手法により調製されたインテリジェントゲルを用いた薬物徐放の制御をおこなうことであった。これらは計画通り達成され、報文1件、学会発表5件で発表した。その概要を以下に記す。 1. はじめに仕込むモノマー組成(N-ビニルアセトアミド/N-ビニルホルムアミド)を2/8とすることにより、強度を保ちながら加水分解において導入するカチオン量を最適化した。 2. ポリアクリル酸の濃度(0.5~0.10M)を調節することにより、pH7付近で収縮するポリイオンコンプレックスを調製することに成功した。 3. イソプロパノールによる相溶性の違い(ポリ(N-ビニルアミド)とポリビニルアミン)を利用して表面のみにポリイオンコンプレックス相を導入した。 4. フルオレセインイソチオシアネートラベル化したデキストラン(分子量9500)をモデル薬物として徐放能を調べた結果、pH条件に応答して放出をコントロールすることが可能であった。
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