研究概要 |
本研究課題である低屈折率ポリマーの開発手法として、モノマーの持つ空孔と多分岐骨格による分子内空隙といった分子の構造の利用した、分子の低密度化により低屈折率達成を目指す。ポリマー骨格による効果は、含フッ素ハイパーブランチポリマーを用いて検討を行った。トリエポキシ化合物とジオール類との重付加反応により合成し、その屈折率について対応する直鎖状ポリマーと比較したところ、ハイパーブランチポリマーは高い芳香族含有率を有するにもかかわらず、対応する直鎖状ポリマーよりもわずかではあるが低い屈折率を有することを明らかにした。また、含フッ素量により屈折率の制御が可能であることも併せて確認した。モノマーとして購入または比較的簡便に方法で合成できるものとして、シラン類やダブルデッカー型シルセスキオキサンに着目しポリマー合成を行った。(A_2+B_n)法を用い、シラン誘導体(A_2モノマー)とη^-ビニルシラン化合物(B_nモノマー,n=2,3,4)を白金触媒を用いたヒドロシリル化反応により、分岐度の異なる種々のポリカルボシランを合成した結果、得られたポリマーのガラス転移点は室温以上であり、nの増加に伴い、屈折率の値は減少する傾向を示した。一方ダブルデッカー型シルセスキオキサンの様な嵩高いモノマーを用いた場合、現在までのところおよそ1.49という屈折率が得られている。これらシルセスキオキサンを含むハイパーブランチポリマーは剛直で多くの空隙を持つ構造のため、比較的大きな熱光学係数を示した。
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