研究課題
金属ナノ粒子を3次元格子状に配列させた金属ナノ粒子格子の物性を明らかにするために、単結晶配列金ナノ粒子格子を数十μm以上に大きく成長させることを目指した。本年度は、格子成長時の温度調節と共に、格子成長中の金ナノ粒子分散液を常に新しいものになるように交換することで、50μm以上の単結晶配列金ナノ粒子格子を得ることに成功した。この金ナノ粒子格子に銀ペーストと金属線により電極をつけ、電気伝導度の評価を試みたが、現在に至っても再現性の良いデータを得られていない。これは電極と試料との接触に問題があるためと考えられる。現在、インクジェット法による銀ペースト電極の作製を検討中である。この実験と並行して、厚さ約1nmの有機単分子層で覆った金ナノ粒子の集合体を密に押し固めることで、金ナノ粒子のアモルファス配列体を作製し、その電気伝導を四端子法で測定した。この材料の室温における電気伝導率は、構成ナノ結晶の直径が3.8nmから7.0nmへと変化するに従い、3.0S/cmから500S/cmへと変化した。電気伝導率の温度係数は1.2×10^<-4>K^<-1>であり、バルク金の温度係数よりも一桁小さかった。この温度係数の小ささは、ほとんどの伝導電子の散乱が表面単分子層と金ナノ結晶との界面で生じるためと考えられる。本年度は、他にも銀ナノ粒子を用いた同様の実験とMIS構造の作製を考えていたが、単結晶配列金ナノ粒子格子の電気伝導度測定に多くの労力を注ぎ込むこととなり、それらの実験を進めることはほとんどできなかった。以上、本年度の成果をまとめると、単結晶配列金ナノ粒子格子を50μmにまで成長できたこと、及び、金ナノ粒子アモルファス配列体の電気伝導度を明らかにしたことである。この電気伝導度は、構成ナノ粒子の直径を変化させることで様々に変化し、その温度変化は非常に小さいことが確認された。この性質は発熱による熱暴走を防ぐバラスト抵抗として有望である。
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Japanese Journal of Applied Physics
巻: 50 ページ: 01BH01-1-01BH01-3
巻: 49 ページ: 06GJ05-1-06GJ05-3