研究概要 |
本研究では、次世代の太陽電池材料として有望なSiナノ結晶(0次元,直径:1-50nm,バンドギャップ:3.0-1.1eV)およびSiナノワイヤ(1次元,直径:5-50nm,バンドギャップ:1.5-1.1eV)の両材料を機能的に複合化し、Si材料の削減による低コスト化および変換効率の向上を両立した、これまでに無い新しい次世代シリコン太陽電池材料の開発を行った。 不純物ドープシリコンナノ粒子を用いた太陽電池のI-V特性に関して、疑似太陽光源(AM1.5G、100mW/cm^2)を有するソーラーシミュレータを用いて評価した。サイズ可変前のシリコンナノ粒子を用いた太陽電池は、0.8Vの低い解放電圧(V_<oc>)と0.015mA/cm^2の低い短絡電流密度(J_<sc>)を示した。しかしながら、サイズ可変したリンドープシリコンナノ粒子を用いた太陽電池では、疑似太陽光に対する吸収帯幅の改善(特に、可視域帯での効果的な吸収)による吸収効率の向上により、解放電圧(1.725V)と短絡電流密度(0.5mA/cm^2)を大きく増加させることができた。 キャリアの輸送機構を向上させるために、PドープSiナノ粒子から成る太陽電池に対して、キャリアの導電性パスとして優れている不純物ドープしたSiナノワイヤを導入した。複合材料を用いた太陽電池は、ナノワイヤを導入する前の太陽電池に比べて解放電圧(0.2V)や短絡電流密度(0.225mA/cm^2)が低く、変換効率の向上には至らなかった。その原因として、ナノ粒子とナノワイヤの密着性および密度の最適化が不十分であることやナノ粒子/ナノワイヤ界面での欠陥の残存が影響していると考えられる。よって、複合材料を用いた太陽電池における変換効率の向上には、活性層の構造改質がより重要であることがわかった。
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