研究概要 |
分子線エピタキシー法によって成長させたトポロジカル絶縁体は、トポロジカル絶縁体ベースの面状デバイスや次世代スピントロニクスの理想的な材料の候補である。しかし、トポロジカル絶縁体と基板の間の界面における構造や電気的性質に関しては疑問な点が多い。昨年度はBi_2Te_3絶縁体だけでなく、すべてのトポロジカル絶縁体において、イオン液体による電気2重層トランジスタが電気特性を制御する非常に有効な手段であることを初めてあきらかにしたが、2011年度は、主にLEEMと他の技術を併用することによって、トポロジカル絶縁体であるBi2Te3超薄膜のそれらの性質について調べた。得られた研究成果は以下の通りである。 (1)si(111)-7x7表面におけるトポロジカル絶縁体フィルムの界面構造をLEEMと高分解能TEMを組み合わせることにより調べた。得られた結果は、2mm厚さの湿潤層の存在を直接示すものであった。また、その湿潤層によりSi(111)-7x7とBi_2Te_3の間の14%もの格子ミスフットを調整することが可能であることがわかり、このことはARPESによって得られた結果を支持している[Nat. Phys. 6,584(2010)](Appl. Phys. Lett.投稿中)。 (2)製膜後試料の伝導度測定により、トポロジカル絶縁体超薄膜(~5mm)の絶縁体的挙動が示された。超薄膜Bi_2Te_3の温度依存性の抵抗において、電子状態の変調と半導体的電気伝導(dR_<xx>/dT<0)から金属的伝導(dR_<xx>dT>0)への相転移が観測された(Nano Lettersにて発表)。
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