研究概要 |
本研究は、LSI用高誘電率薄膜作成のプラズマ支援原子層堆積プロセスに対し、準安定原子を活用したプラズマプロセスを適用し、その効果を検証するものである。 現有するプラズマ成膜チャンバーにALDに薄膜形成用プリカーサ導入機構を付加し、形成膜をXPS,AFM,LEED等により表面分析する。これにより、気相の活性粒子と形成膜との相関を明らかにする。 21年度は、第一段階としてソフトプラズマ支援ALDシステムの構築を行った。システムは(a.成膜チャンバー),(b.原料供給部),(c.準安定原子計測部),(d.膜・表面分析)から構成される。成膜プロセスを構成する単原子層の形成は、成膜チャンバー(a)中の試料に(b)よりhigh-k材料を供給後、プラズマ中の準安定原子を照射することで可能となる。購入した気化器と液体用マスフローコントローラを現有するプラズマ成膜用チャンバーに付加し、high-k材用原料液体プリカーサを導入可能とした。また、成膜チャンバー内の基板の搬送、加熱を可能とするため、3軸マニピュレータを購入した。 平行して、窒素添加high-k膜の表面反応種として期待されるプラズマ中の準安定N(^2D)原子と基底状態N(^4S)原子の密度を、真空紫外の吸取分光法により明らかにした。 さらに原子層堆積実験の前段階として、high-k材用金属ハフニウム蒸着面への窒素プラズマ照射実験を行ない、形成された空化ハフニウムシリケート膜中のN原子密度が真空紫外吸取分光で導出した照射N原子フラックスと非常によい一致を示すことを明らかにした。 本研究成果は、窒素添加high-k膜作成プロセスにおける準安定窒素原子N(^2D)の表面反応活性化効果を示したものとして新規性が高い。
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