本研究の目的は、代表的な半導体ナノ構造物質である単層カーボンナノチューブ中の励起子微細構造の解明とこの準位間のコヒーレント制御技術の確立である。このために本研究では、(1)1THz帯において1MV/cmを超える高電場振幅を持つTHz光発生技術を開発した。(2)THz非線形分光技術を確立し、ZnSeおよびGaAs多重量子井戸においてシュタルクシフトおよび動的フランツ・ケルディッシュ効果をともなう励起子のイオン化を観測し、励起子コヒーレント制御の可能性についての議論を深めた。(3)また多重量子井戸GaAsにおいて、高強度THzパルス照射による1000倍のオーダーのキャリア増幅を実現し励起子発光を初めて観測した。(4)さらに単一SWNTsを調べるためのTHz近接場顕微鏡の構築を行った。これらの分光技術を駆使して、単一SWNTsの励起子構造の研究を進めている。
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