研究概要 |
三次元表示とセキュア表示の複合表示ディスプレイの設計を明らかにすることが本研究の目的であり,2年間での目的達成を計画している.平成21年度には3層の液晶ディスプレイパネルで構成される新しいディスプレイハードウェアの製作と3層ディスプレイの偏光変調特性を調べた.製作したハードウェアは,偏光面の回転角度による演算結果を示すディスプレイである.液晶パネルを分解して3種類の異なる構造の液晶パネルを作製した.第1の液晶パネルは,通常の液晶ディスプレイから観察者側の偏光フィルムが取り除かれた液晶パネルであり,バックライト,偏光フィルム,液晶デバイスで構成される.第2の液晶パネルは,通常の液晶ディスプレイパネルからバックライトと2枚の偏光フィルムの両方を取り去ったものであり,液晶デバイスのみで構成される.第3の液晶パネルは,通常の液晶ディスプレイからバックライトとバックライト側の偏光フィルムを取り去ったものであり,液晶デバイスと観察者側の偏光フィルムとで構成される.これら3種類の液晶パネルを,第1の液晶パネルの上に間隔1cmのスペーサーを介して第2の液晶パネルを積層,さらに1cmのスペーサーを設けて第3の液晶パネルを設置した.つまり,製作された多層の偏光演算型ディスプレイは,バックライト,偏光フィルム,3枚の液晶パネル,および偏光フィルムで構成される.3枚の液晶パネルの各層により偏光面が変調されることを確認した.さらに,液晶デバイスの間に設けたスペーサーにより,観察位置に応じて異なる偏光演算結果が得られることを実証した.これらの成果は平成22年度に取り組む3層の偏光符号化によるセキュア3D表示に利用可能である.
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