研究概要 |
超音波変調光計測における超音波変調光信号の発生機構を解明することは,定量性のある新しい医療診断装置を開拓する上で非常に重要である。本年度は,多波長光源と高感度分光システムを導入した同軸反射型超音波変調スペックル光計測システムの構築と,構築システムシステムによる微弱反射超音波変調光の波長依存測定,および1粒子散乱光パターンと理論導出した散乱光パターンとの比較検討を目的とした。 イメージング分光器および新しく購入した高感度冷却CCD検出器とで構成した高感度分光装置と広波長帯域フェムト秒チタンサファイアレーザーとを超音波変調光計測システムに組み込み,同軸反射型超音波変調分光計測システムを構築した。試作システムを性能評価するために,試料からの反射散乱光分布を回転ミラーで1次元走査しながら連続的に高感度分光器で測定した。一連の測定データを再構成して,波長間隔1nmの各波長に対するスペックル画像を収得した。スペックル画像は波長に対して,鋭敏かつ連続的に変化し,反射散乱光が波長に強く依存することを実験的に見いだした。次に,厚さ10mmの試料内部で1粒子による1回散乱の光散乱試料を用い,反射散乱光を1次元走査することで各波長に対する反射分光画像の収得を試みた。試作システムによって試料内部で1回散乱する低散乱光散乱試料の反射散乱光パターンを計測したが,現状システムでは超音波変調に対する信号雑音比が極めて低く,Mie散乱理論から導出した光散乱パターンとの比較評価まで至らなかった。
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