研究概要 |
超音波変調光計測における変調光信号の発生機構解明は,定量計測が可能な新しい医療診断装置とて開拓する上で重要である。本年度は,昨年度に生じた計測システムの問題を改善するために,同軸射型超音波変調分光計測システムにおける信号雑音比の向上し,さらに試作システムシステムによる弱反射超音波変調光の波長依存測定,および反射散乱光のスペックルパターンの波長依存について数解析することを目的とした。 新規に超音波発生器および超音波パルサー装置を超音波変調分光計測システムに導入し,パルス幅を従来比0.3倍,ダンピング時間0.1倍および超音波強度を12倍に向上した。試作システム内に配置したイメージング分光器に対して,光散乱試料からの反射散乱光を1次元走査することで広波長帯域光源に対する反射分光特性を測定した。波長間隔1nmに対するスペックル画像は波長に対して連続かつ大きく変化することを実験的に見いだすとともに,透明性が高い1回散乱の光散乱試料を試作し,超音波変調に対する反射分光画像を収得した。また,モンテカルロシミュレーションを用いた数値解析では,超音波変調による散乱体粒子変位による位相変化を考慮したモデルを用いることで反射光強度の波長依存を得るとともに,反射散乱光が光源波長に対して連続的に変化する結果を得た。本研究では,超音波変調に対する波長依存の定性的な依存性を見いだすことに成功したが,定量的な波長依存性を検証するまでには至らなかった。
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