本研究の目的である「線形二次制御問題」の解決が達成できた。この問題を直接解くことは困難なので、この問題に関連した補助問題を与え、その問題の解から構成される入力が「線形二次制御問題」の解になることを数学的に証明することができた。この補助問題は、「非拡大写像の不動点集合上の凸最適化問題」と呼ばれる複雑な形状を制約集合にもつ凸最適化問題として帰着される。近年、情報工学で応用されている非拡大写像の不動点理論を適用することで、この問題の解析が可能となる。特に、研究代表者らが提唱する「不動点最適化アルゴリズム」を利用することで、この補助問題の近似解を得ることができる。以上の研究成果は、論文の形にまとめており、現在、ジャーナルに投稿中である。 システムをより安定にさせるには、「線形二次制御問題」を高速に解くことが必要となる。言い換えれば、既存の「不動点最適化アルゴリズム」よりも高速に補助問題の解を見つけろことができるアルゴリズムが必要である。この点については、平成21年度で検討をすでに開始しており、平成22年度で成果を挙げる予定でいる。平成21年度では、特に、「共役勾配法」や「三項間共役勾配法」と呼ばれる制約無し最適化問題に関する最適化手法に着目し、今後、これらの手法を制約付き最適化問題に適用できるようにアルゴリズムを修正する予定でいる。
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